――説明すると回らなくなる現場のジレンマ
導入
人材業界の仕事に関わっていると、
よく聞かれる質問があります。
なぜ不採用だったのか教えてほしい
どこを直せば次は採用されるのか知りたい
就業者にとって、
これは当然の疑問だと思います。
一方で、
現場ではその理由を
はっきり説明しない、
あるいはできない場面が多くあります。
今日はその背景を、
「隠しているから」ではなく、
説明すると回らなくなる構造という視点で整理します。
評価基準は「ある」が「固定されていない」
多くの場合、
評価基準そのものは存在します。
- 欠勤の有無
- 連絡の仕方
- 現場でのトラブル
- 企業側の印象
ただしこれらは、
点数表のように
固定されているわけではありません。
同じ欠勤でも、
- 時期
- 理由
- 現場
によって扱いが変わる。
この時点で、
「基準を明文化する」ことが
一気に難しくなります。
説明すると「例外処理」が増える
仮に、
欠勤1回で不採用
欠勤2回で今後不可
と説明したとします。
すると次に来るのは、
- 今回は事情がある
- 前回とは状況が違う
- 他の人はどうだったのか
という個別相談です。
結果として、
説明すればするほど
例外対応が増え、判断コストが跳ね上がる。
現場ではこれが
一番しんどい。
企業側の「言語化されていない要望」
もう一つ大きいのが、
企業側の要望です。
- なんとなく合わなかった
- 前回と違和感があった
- 今回は別の人がいい
こうした要望は、
悪意ではなく
言語化されていない感覚であることが多い。
これをそのまま就業者に伝えると、
別の問題が生まれます。
説明が「評価」や「断罪」に見えてしまうリスク
説明しようとすればするほど、
- あなたは◯◯が足りない
- この点が問題だった
という言い方になりやすい。
意図としては
構造の説明でも、
受け取り手には
人格評価や断罪に見えてしまう。
このリスクを避けるために、
現場は説明を曖昧にする、
という選択を取ることがあります。
就業者から見えない「判断の積み重ね」
就業者から見ると、
- 理由が分からない
- 評価が固定されたように感じる
- 改善点が見えない
これは無理もありません。
ただ、現場で行われている判断は、
一回の出来事ではなく、
小さな判断の積み重ねです。
それを
一言で説明するのが、
そもそも難しい。
だからこそ、仕組み化が必要だと思っている
説明できない状態を
放置するのは、
良い形ではありません。
- 就業者は納得できない
- 現場は疲弊する
- 判断は属人化する
この状況を変えるには、
人が頑張るのではなく、
説明できる形に仕組みを寄せる
しかないと思っています。
評価のすべてを公開する必要はなくても、
- どこで判断が分かれやすいのか
- どうすれば次につながるのか
その輪郭だけでも
見える形にする。
まとめ
評価基準が説明されにくいのは、
怠慢や隠蔽というより、
説明すると回らなくなる構造があるからです。
ただ、それを理由に
曖昧さを前提にし続けるのも、
長くは続きません。
どこまでを人が考え、
どこからを仕組みに委ねるのか。
この問いは、
就業者・企業・人材会社、
全員に関係するものだと思っています。


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